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vol.6「先の夢は見ない、今やりたいことを楽しむだけ。」阿見AC中学コース 佐々木綾乃さん


vol.6 佐々木 綾乃 -AYANO SASAKI-

プロフィール

2002年生まれ 中学3年生

茨城県県阿見町出身

阿見第一小学校

竹来中学校

専門種目:100m・200m

自己ベスト:100m12秒51・200m25秒47

実績:

中学1年:ジュニアオリンピック4×100mR出場

中学2年:全日本中学200m出場

中学3年:全日本中学100m・200m出場・ジュニアオリンピックAクラス200m第3位

小学1年生の時に1学年上の兄と一緒に阿見アスリートクラブへ入会

今春高校進学後も阿見ACで継続的に指導を受ける

12月に行われた阿見ACアワーズ2017、そこで最優秀選手賞にあたる阿見ACメンバーオブザイヤーを受賞したのは、中学3年生の佐々木(ささき)綾乃(あやの)選手(阿見AC中学コース)だった。

秋に開催されたジュニアオリンピック 女子A200m(中学3年生)で、初めての全国入賞&銅メダル獲得という快挙が評価されての受賞。

全国大会出場経験は中学1年生の時からあったが、常に期待されつつも入賞を逃してきた佐々木選手。中学生最後の大会で念願だった全国入賞という夢を果たし、今乗りに乗っている彼女の本音に迫る。

マイペーススプリンター

初めて彼女を見た時に目がいったのは、身長167㎝というスタイルの良さである。

「背が高いね。足も長くてうらやましい。」と言うと、

「まだ伸びてるんですけど、でも周りより背が大きいのが嫌で、つい背中を丸めて目立たないようにしちゃうんですよね。」と、なんとも中学生の女の子らしい回答が返ってきた。

話していて伝わってくるのは、やわらかい雰囲気とゆったりとしたマイペースさ。

全国大会で活躍するスプリンターだとは言われてもわからないくらい、ほんわかとしてるのだ。

ちょうど10年前に彼女と同じくジュニアオリンピック100mHで彗星のごとくあらわれて優勝した阿見ACOGの久貝瑞稀さんや、女子100m・200m日本記録保持者の福島千里選手(ファーストトラック株式会社)にもどことなく雰囲気が似ている。

彼女のような空気を纏った女子のトップ選手は少なくない。

この手のタイプはタイミングは人それぞれだが、急にスイッチが入ると別人のような爆発力を見せるのだ。

彼女のスイッチはどこで入るのか?気になって聞いてみると

「自分ではわかりません。でも友人に怖いよ。と言われたときには多分もう入っているんだと思う。」とある意味納得の答えに笑ってしまう。

プレッシャーもあまり感じることがない、ジュニアオリンピックの決勝はその中でも一番緊張しなかった。という。

それは自信があったから?と聞くと、自信はむしろないのだそう。

「全国大会に行けば、みんな堂々としていて大きく見えますし、いつもその速さに圧倒されるんです。勝てると思って走るというよりは、勝てたらいいな。でも負けてもそれが私の実力。と受け入れた状態で試合に臨んでいるから、緊張しないのかもしれません。」

「ジュニアオリンピックでは、確かに3位入賞なんですが、実はゴールしたのは4番目だったんです。2位だった選手が内側のラインを踏んで失格してしまって、繰り上げで3位。だから自分の中ではまだ全国で4位にたまたまなれただけ。まだそこまでの実力がついたとは思っていない。」

中学最後の試合で初めての銅メダル。そう書くと聞こえはいい。

しかし本人はその結果に浮かれることは全くない。

それどころか自身への評価は厳しく、それゆえのひたむきさが彼女を成長させ続けるのだろう。

兄の存在

そんな彼女だから、メンバーオブザイヤーの受賞もまだあまり実感はわかないのだという。

「メンバーオブザイヤーは、脩人コーチ(市村脩人:セルフサポートコース、全日本実業団男子走高跳5位)が獲ると思っていて、発表される瞬間の反応が見たくてずっと注目していたんです。そしたら自分にライトが当たって名前が呼ばれたので焦りました。すごい選手がたくさんいる中で私がもらうなんて、まだ早い気がして。嬉しいというよりは、びっくりしました。副賞でクリオのベルトをいただいたんですけど、兄に貸してくれと言われてとられてしまいました(笑)」

彼女には1学年上に同じ短距離をする兄の佐々木翼選手がいる。

「私はあまり家に陸上競技を持ち込みたくなくて、オフの時は陸上には全く触れずにいたいタイプ。その反動で練習へのモチベーションがより一層上がるんですけど、兄は練習でも家でも意識が高くて。ストレッチを欠かさなかったり、ビデオを見て分析していたり本当に真面目。

両親からはそのせいで、お兄ちゃんはやってるのにと注意されることもあります。(笑)

そんな私なので、兄のおかげで良い方に引っ張ってもらっているところはあると思ってます。

マッサージし合おうと言われて先に私がマッサージをするんですけど、それが終わるとお兄ちゃんは逃げちゃって結局私はやってもらえないこともあったりしますけど、でもすごく優しくて尊敬できる兄です。」

そんな兄の背中をそばで見ているからこそ、高校へ進学しても陸上を続けるという選択に迷いはなかったという。

目指すのは今の私の夢

「高校へ入ったら400mにも挑戦したいと思っています。新しいことに挑戦するのってすごくワクワクするんです。中学1年生の秋に200mを始めた時もすごく楽しかったので、きっと400mも楽しいだろうなと思って。もちろん100mも200mも頑張ります!」

もう今から新しい環境での挑戦が待ち遠しくて仕方ない様子の彼女。

まだ気は早いかもしれないけど、高校での目標はなんですか?と聞くとまた驚きの回答が返ってくる。

「インターハイに出たいので、北関東大会を突破することが目標です」

高校3年間での目標だよ?低すぎない?と動揺する筆者にまた落ち着いた言葉で答えてくれる。

「高校で陸上を続けることも、大学で続けることも、みんな当たり前に思ってるみたいなんですけど、自分ではまだわかりません。将来オリンピックに出場したいかどうかもそれと同じ。

インターハイに出場する。この目標が今の私の夢なんです。

それが出来たら、またその次の目標を考えられるんじゃないかな。あまり大きな夢をみてもいまいちピンと来ない性格なので、まずは目の前の自分がやりたいことを楽しんで頑張りたいと思います。」

自分を無理に奮い立たせようとはしない、それでも自分に火が付く瞬間が来ることを彼女はちゃんと知っている。

中学3年生にして実力を過信することなく、冷静に自分と向き合うその姿からは、将来の日の丸を背負って立つところも期待してしまいそうなのだが、「今はまだそこまでは考えられません。」とまた笑ってかわされそうなので、

これからも彼女の今に注目し続けていきたいと思う。

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